パート・アルバイトを採用したとき労災保険の手続きは必要?みんなが安心して働ける職場づくり

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街の損保案内人

1級FP技能士・CFP
損害保険業界で15年以上の経験を積み、長年の現場経験と専門知識を活かして、スモールビジネス、個人事業主、中小企業のリスク対策について分かりやすくお届けしています。

パートやアルバイトの方を採用した際、「労災保険って必要なの?」と思ったことはありませんか?実は、労災保険は正社員だけでなく、パートやアルバイトの方を含むすべての労働者が対象です。この記事では労災保険の未加入のリスクと簡単なポイントについて解説します。スタッフも事業主も笑顔になれる職場を一緒に考えていきましょう。

1. 労災保険ってどんな制度?

1.     労災保険の概要

労災保険は、業務中や通勤中に起きたケガや病気、障害、死亡に対する補償を行う公的な保険制度です。事業主が全額保険料を負担し、従業員に金銭的負担はありません。

2.     適用される範囲

正社員はもちろん、パートやアルバイト、短期雇用の従業員も労働契約があれば適用対象です。一方で、個人事業主や業務委託契約の方は対象外ですが、「特別加入制度」を利用することで補償を受けられる場合があります。

3.     労災保険の未加入リスク

事業主が労災保険の加入手続きを怠っていた期間中に労災事故が発生した場合、遡って保険料の徴収のほか、労災保険から給付された金額の100%又は40%を事業主から徴収することになります。

2. 労災保険の手続きと必要書類

1.     手続きのタイミング

パートやアルバイトの方を1人でも採用したら、事業開始から10日以内に労災保険の加入手続きを行う必要があります。

 2.     必要な書類

労働保険関係成立届

労災保険と雇用保険の加入を申告する書類。

概算保険料申告書

見込みの年間賃金総額をもとに保険料を申告する書類。

 3.     手続きの場所

管轄の労働基準監督署で書類を提出し、保険料を納付します。オンライン手続きや電子申請も活用できます。

3. 労災保険料はいつ納付する?

1.     初回納付

労働保険関係成立届を提出する際、概算保険料を一括で納付します。見込みの賃金総額に基づき計算されるため、正確な賃金総額を把握しておきましょう。

2.     年度更新時の納付

毎年6月1日~7月10日の間に「年度更新」の手続きを行い、実際の賃金総額に基づいた精算と翌年度分の概算保険料を申告・納付します。

3.     分割納付の方法

概算保険料が一定額を超える場合、分割納付が可能です。初回納付時に1回目を支払い、残額は原則として3回に分けて納付します。

4. 労災保険未加入を防ぐために注意すべきポイント

もし仮に未加入期間に労災事故が発生した場合でも被災したスタッフは未加入でもあっても労災からの給付を受けられます。じゃあ労災保険料は払わなくても大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、未加入の場合、遡って保険料の徴収や故意や重大な過失での未加入の場合は労災からの支給額を費用徴収することになっています。パート・アルバイトスタッフを採用した場合は速やかに手続きを進めるようにしていきましょう。

1.     雇用契約を明確にする

パートやアルバイトの場合でも、雇用契約書を作成し、勤務条件を明確にしておきましょう。業務中や通勤中の事故に対して労災保険が適用されることを説明し労災保険の存在を伝える。

2.  賃金台帳を正確に管理する

労災保険料は賃金総額を基準に計算されるため、従業員の労働時間や賃金をしっかり記録することが重要です。

3.     納付期限を守る

納付が遅れると延滞金が発生するため、年度更新のスケジュールを把握し、確実に手続きしましょう。

5. その他制度や福利厚生も充実させていきましょう

スタッフが楽しく快適に働くためには福利厚生を充実させることも重要となってきます。雇用保険や社会保険など法律によって義務付けられている福利厚生制度の他に、その会社独自で導入できる福利厚生です。「ここで働きたい!」と思えるような職場づくりを目指してみてください。

  • 健康サポート(人間ドック補助や予防接種補助)
  • 子育て世帯のための柔軟なシフト
  • 資格取得支援
  • 飲食費補助(勤務中の飲み物や軽食、昼食をサポート) など

      

まとめ

パート・アルバイトスタッフが安心して働ける職場を作るには、まず労災保険や雇用保険などの法定制度への加入が基本です。さらに社会保険加入への適切な対応や有給休暇の付与など法定基準をしっかり守ることも大切です。これに加え子育て世帯のための柔軟なシフトや健康サポートなど独自の福利厚生を取り入れることでスタッフが日々安心して活躍できる職場を目指していきましょう。