車両盗難に遭うと、金銭的な損失だけでなく、精神的なダメージも大きいものです。車が盗まれたショックに加え、「犯罪者が自宅近くに来ていた」「自分が狙われた」という事実が、不安感をさらに増幅させます。この記事では、車両盗難の実態や、盗難されやすい車種、さらに盗難を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。
盗み出すまでの時間が短い! その手口とは
車両盗難がなくならない一つの理由は、盗み出すまでの時間が驚くほど短いということです。
最近の犯行では、車を盗むのにわずか2~3分しかかからないケースもあります。特に、スマートキーを利用した車両では、物理的な鍵を破壊する必要がないため、かかる時間が短い。その手口を見ていきましょう。
リレーアタック
リレーアタックでは、スマートキーの微弱な電波を中継するだけでドアの解錠やエンジン始動ができてしまいます。これは、家の中にキーがあっても車が盗まれる危険があります。犯人は2~3人で犯行に及んでるケースが多い。
CANインベーダー
CANインベーダーは車両のCAN(コントロール・エリア・ネットワーク)に不正にアクセスし車の電子制御ユニット(ECU)を操作することで、ドアロック解除やエンジンを始動させる手口です。
コードグラバー
コードグラバーは最近増加している手口で、スマートキーを使用したときに発するIDコードを盗みだすというものです。この盗んだIDコードを悪用しドアロック解除やエンジン始動したりできる手口です。
機器を悪用して「短時間で終わる犯行」、「周囲に気づかれにくい」が盗難をより加速させてしまう。
海外でも人気?日本の人気車種
日本車が海外で人気ということも車両盗難が減りにくい要因の一つになっています。ランドクルーザー、アルファード、レクサスは日本でも人気が高く街で見かけることも多くなってきています。これが犯罪者にとって絶好のターゲットになっています。
盗難が多い車種
1位ランドクルーザー(プラド含む)・・・383件
2位アルファード・・・364件
3位プリウス・・・307件
4位レクサスLX・・・120件
5位ハイエース・・・60件
6位クラウン・・・53件
7位ヴェルファイア・・・43件
8位レクサスRX・・・42件
9位ハリアー・・・37件
10位メルセデスベンツ・・・37件
参考 一般社団法人日本損害保険協会 第25回自動車盗難事故実態調査結果 2023年調査結果
ランドクルーザーなど、国内外で需要の高いSUV車は特に狙われやすく、犯人もあの手この手で盗難しようと考えるのでこちらも二重三重の対策が欠かせません。
犯行が組織化している
•複数犯での計画的犯行
窃盗団と呼ばれるグループが計画を立てて犯行に及ぶことが多く、組織的な動きが目立っています。防犯カメラなどで映し出される映像には手慣れた様子で犯行に及ぶ姿が映っている。犯行全体に役割分担があり、一連の流れが速いことが車両発見を難しくしている。
・犯人の捕まりにくさ
盗難された車両はナンバープレートを偽装して逃走したり、ヤードなどに運搬し解体され、そこからコンテナに積んで海外へ輸送されてしまうことが多く、追跡が困難になるケースが多いです。また、犯人は特殊な知識や技術を持っているため、簡単に足取りがつかめない。
犯人も嫌がるアナログな対策も有効
各自動車メーカーが推奨するセキュリティ対策はもちろんのこと、犯人も嫌がるようなアナログな対策も非常に有効です。
センサーライトの設置
侵入者が近づくと自動的に点灯し、犯人の行動を照らし出す。
警報装置の設置
敷地内の侵入者に対して、センサーで感知して警報音がなる装置。侵入者を威嚇し犯行を抑制する。
防犯カメラの設置
犯行の一部始終を録画、盗難の下見などの抑止力にもつながる。
タイヤロック
タイヤに鉄製のリング状の用具を装着しタイヤを回らないようにする器具。付いているのと付いていないのでは大違い。
ハンドルロック
ハンドル部分に取り付ける盗難防止器具。タイヤロック同様に、ハンドルを動かせないようにする道具です。タイヤロックもハンドルロックも犯人が外すには「時間も手間もかかる」よう設計されていますので、盗難防止効果は大きいです。
これらを上手に組合わせ犯人が嫌がりそうな状況を作っていくことも盗難対策では重要となってきます。
もしも窃盗犯を発見したら
万が一窃盗の現場を発見した場合、「自分で犯人を捕まえよう」とするのは非常に危険です。犯人は複数で凶器を持っている可能性もあります。速やかに警察に連絡し、安全を確保した上で指示を待つようにしましょう。
まとめ
車両盗難がなくならない背景には、犯罪手口の巧妙化、機器の高度化で短時間かつ周囲に気づかれにくい犯行が可能ということや、人気車種の増加など、さまざまな要因が絡み合っています。さらに、犯罪者の動きが計画的かつ凶悪化していることも大きな問題です。防犯アイテムを駆使して犯罪者にとって「嫌がる状況」「狙いにくい環境」を作っていきましょう。また不審者が見かけたら近隣への情報提供や警察への共有も大切です。車両盗難を防止するために、まずは小さな対策から始めていきましょう。