飲食店を経営していると、日々の営業に追われる中で「火災リスク」を意識するのは難しいかもしれません。特に営業中は、次々に入る注文に対応するのが最優先。スタッフもフル稼働で慌ただしいため、小さなミスが火災に繋がることもあります。でも、「もし火災が起きたら…」と考えると、その影響は計り知れません。この記事では、飲食店の厨房火災のリスクと、その対策を分かりやすくお伝えします。
厨房火災のリスクとは?
営業中の忙しさが引き金に
飲食店の厨房は、火や熱を扱う仕事がメイン。そのため、火災のリスクが常にあります。特に忙しい時間帯には、注意が疎かになりがち。例えば、次のような状況が火災の原因になることがあります。
• 油の過熱
忙しさのあまり、天ぷら鍋やフライヤーを放置してしまい、油が引火温度に達して火災に繋がることがあります。
• 排気ダクト等の汚れ
コンロや排気ダクト等に溜まった油汚れが、ちょっとした火花や熱で燃え上がることも。営業後の疲労で掃除が困難な場合も。
• 電気系統のトラブル
冷蔵庫やフライヤーなど、多くの電化製品を使う厨房では、配線の劣化や過負荷による火災も注意が必要です。
火災が引き起こす深刻な影響
一度火災が発生すると、店舗の設備が損壊するだけでなく、営業もストップしてしまいます。さらに、お客様や従業員の命に関わる大事故に発展する可能性もあります。近隣の店舗や住居に被害を与えた場合は、賠償責任が発生することも。そう考えると、火災は「一瞬のミス」が引き起こす、経営にとって大きなリスクと言えます。
厨房火災を防ぐための具体的な対策
(1) 忙しい営業中でもできる工夫
営業中の慌ただしさを考慮した対策が必要です。例えば
• 火元管理を徹底する
調理中の鍋やフライパンの火加減を確認するのはもちろん、担当者を明確にすることで、誰が何を管理するのかを全員で共有しましょう。
• 消火器をすぐ使える場所に
忙しい時間帯でも即座に対応できるよう、消火器や防火スプレーを手の届く場所に設置しておくことが大切です。
(2) 日常のメンテナンスが命を守る
• 営業終了後の掃除
換気扇やコンロ周りに付着した油汚れは、火災の原因になります。営業が終わったら疲れていても、その日のうちに掃除をする習慣をつけましょう。
• 設備の定期点検
ガスや電気の設備や自分たちでは手が届かない箇所などを月に1回程度専門業者に点検してもらうことで、目に見えないリスクを減らすことができます。
(3) 従業員への教育と訓練
•忙しい時間こそ火災リスクを意識する重要性を伝え、初期消火や避難手順について定期的に
•火災が起きたときの「初動」が素早いほど、被害を最小限に抑えることができます。
もしも火災が起きてしまったら
どんなに気を付けていても、火災がおきてしまう可能性はゼロではありません。そのため、「万が一」のときに慌てず行動できるように、対応を考え考えておくことが大切です。
火災が発生したらまずやるべきこと
1.初期消火を試みる
火がまだ小さい場合は、消火器や防火スプレーを使って消火を試みましょう。このとき、慌てて火の上から水をかけるのはNGです!油火災の場合、逆に火が広がる危険があります。消火器の使い方を普段から練習しておくと安心ですね。
2.安全な場所へ避難させる
火が大きくなった場合は、初期消火にこだわらず、すぐに従業員やお客様を安全な場所へ避難させましょう。厨房だけでなく、店内全体の避難経路を事前に確認しておくことがポイントです。
3.消防署へ連絡する
消火が難しいと判断したら、速やかに119番に通報を。通報時には以下の情報をはっきり伝えます:
• 火災が発生した場所(店舗の住所)
• 火災の規模や状況
• けが人の有無
火災が収まったら加入している保険会社への連絡を入れ、保険金請求に必要なものを準備しましょう。火災の状況や被害の詳細が必要になるため、現場の写真を撮影しておくこくことも忘れずに。
万が一のときの保険も活用
保険では建物や厨房設備、調理器具などの補償や、復旧までの休業中の損失、また火災が原因で近隣の店舗や住居に被害を与えた場合の賠償責任への対応等、どのようなときに活用できるのか保険会社に事前に確認しておくことも重要です。火災リスクが高い飲食店にとって、保険はお店を守る大切な備えです。「火災なんて滅多に起きない」と思うかもしれませんが、万が一の事態が発生したときに復旧までに困らないように保険で活用できることを確認しておきましょう。
5. まとめ
厨房は火や油を扱う分リスクが高いエリアです。どんなに気を付けていても毎日の忙しさもあり、火災トラブルはゼロにはできません。飲食店はお客様に美味しい食事と楽しい時間を提供してくれる場所です。日々の小さな注意と事前の準備で厨房火災を防いでいきましょう。