海外販売を始めるときに知っておきたいリスクと注意点とは?

アバター画像

街の損保案内人

1級FP技能士・CFP
損害保険業界で15年以上の経験を積み、長年の現場経験と専門知識を活かして、スモールビジネス、個人事業主、中小企業のリスク対策について分かりやすくお届けしています。

ECサイトの普及により、日本の商品を海外に販売できる機会が増えています。市場が今後ますます成長する見込みで、日本の商品は海外からも人気で海外で販売するメリットも非常に大きいです。今回は海外販売でトラブルに巻き込まれないように最初に知っておきたい注意点とリスクについて解説します。

現地の法規制を確認する

海外販売を始める際、まず確認が必要なポイントが「輸出禁止商品に該当していないか」ということです。日本では販売できる商品でも輸出先の国や地域では規制対象になる場合があります。事前に販売地域の法規制を確認していきましょう。

輸出禁止商品を確認する方法

1. 販売先国の規制を確認する

輸出先の政府機関や関連団体の公式サイトで、最新の規制情報を確認しましょう。

2. 専門家の助言を受ける

利用配送会社(物流会社)へ輸入が規制されるものやライセンス取得が必要な品目も相談してみましょう。

•地元の商工会や商工会議所にも相談してみる。

配送中の破損や返品対応について

海外販売では、長い距離やさまざまな環境を通るため、商品が破損してしまうこともあります。また返品についての対応も整えていくことも大切になっていきます。

配送中に商品が破損する恐れ

海外への配送は距離が長く、取り扱いが雑になることもあります。梱包が不十分だと、到着時に破損しているケースも珍しくありません。

多くの国で返品できることが大前提

海外で商品を販売する際には、各国の返品事情を理解し、適切な対応を行うことが重要です。返品ポリシーや消費者の期待は国ごとに異なるため、現地の事情に合わせた対応が求められます。

(主な返品理由)

「サイズがあわなかった」「商品が破損または不良品だった」「商品が説明と一致しなっかた」など

 対策として

1.梱包の強化

• 海外輸送に耐えられるよう、梱包材を工夫する。衝撃を吸収する緩衝材を利用したり、外箱に「取扱注意」のマークを明記する。

2.返品・交換ポリシーを整備

まず、現地の消費者保護や返品事情などを参考に、明確で分かりやすい返品ポリシーを策定しましょう。返品の条件や手続き、返金の方法などを具体的に記載し、顧客に安心感を与えることが重要です。返品ポリシーはウェブサイトや商品ページに掲載し、顧客が簡単にアクセスできるようにしましょう。

海外販売する際の配送会社の選び方は?

海外へ配送する場合、複雑な通関手続き配送コスト最適な配送手段など国内配送と異なる点も多く、特に初めての場合は配送会社の選定は気になるところです。今回は3つの代表的な配送方法を紹介していきます。

1.個別に配送

日本国内から直接顧客へ商品を送る方法です。ただし一個あたりの配送コストが高くなる傾向があり、商品の通関手続きなど対応が必要です。

2.国内物流会社へ委託

複雑な専門知識がなくても国内物流会社が配送手続きや通関手続きをサポートしてくれるため、分からない場合でもスムーズに進められる。

3.海外拠点から配送

現地に物流拠点を設ける方法です。顧客への配送が迅速になり、現地市場で競争力を高められますが、大規模な初期投資と運営コストが必要です。

(国内の代表的な物流会社)

・日本郵便

・佐川急便

・ヤマト運輸

もしものトラブルに備える

商品を海外で販売する場合、万が一のトラブルも想定しておくことはとても大切です。どんなに気を付けていても、リスクをゼロにするのは難しいもの。事故事例など踏まえてマニュアルを整えたり海外PL保険に加入しておくことで、もしものときでも慌てずに対応できます。

事故事例

(家電製品)

・電気ケトルの欠陥により、使用中に水漏れが発生し火傷の被害。

・モバイルバッテリーが発火し、周囲の家具や衣類が燃える火災事故。

・ヘアドライヤーの過熱によりプラスチック部分が溶け、手に負傷を負ったケース。

(食品)

・輸送中の温度管理ミスで食品が腐敗し、購入者が食中毒を発症。

・商品に異物(プラスチック片や金属片)が混入しており、購入者が歯を損傷。

・表示されてないアレルゲンが含まれており、購入者がアナフィラキシーショックを起こした。

(日用品)

・子供用のおもちゃの小さな部品が外れ、子供が誤飲してしまったケース。

・包丁やピーラーの刃が不適切な取り付けで、使用中に外れて負傷した。

・フライパンの取っ手が調理中に破損して、料理がこぼれ火傷を負った。

まとめ

海外販売は多くのチャンスがあり、日本のものづくりを世界に広げる絶好の機会です。安心して販売していくために、

現地の法規制を事前に確認して違反を防ぐ。

配送方法サポート体制をしっかり整える。

•もしもの事故への備えとしてマニュアル作成海外PL保険に加入し、トラブル時の対応力を強化する。

これらの準備を整えトラブルが起きたときでも慌てずに、安心できる海外販売にチャレンジしていきましょう。