突然の機械発火は、個人事業主や中小企業にとって深刻なリスクです。特に製造業や飲食業など、機械設備が欠かせない業種では、発火による被害が事業継続に大きな影響を与えることもあります。今回は、機械の発火リスクの原因と対策に備えられるかを解説していきます。
機械からの発火原因とは?具体例を徹底解説

主な原因
機械から発火するリスクは、以下の要因が絡み合うことで発生します。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
(1) 電気系統のショートや過負荷
•原因: 配線の断線、接触不良、過剰な電流負荷などが挙げられます。古い機械や過剰に使用された電源コードもリスク要因です。
(具体例)
•古い工場設備で配線の絶縁が劣化しており、摩耗した部分から火花が出て火災が発生。
•電源タップに複数の機械を同時接続した結果、過負荷でショートし発火。
(2) メンテナンス不足による部品の劣化
原因: 機械は時間の経過とともに部品が摩耗したり、潤滑剤が不足して動きが悪くなったりします。これにより、異常な発熱や摩擦が発生することがあります。
(具体例)
•動いている歯車のグリスが切れ、摩擦熱で金属部分が赤熱化し発火。
•工場のベルトコンベアが長期間点検されておらず、過熱による煙が発生し炎上。
(3) 設置環境の不適切さ
原因: 機械周辺に埃や可燃物が溜まっていたり、湿度や温度が適切でない環境で稼働させると、火災リスクが高まります。
(具体例)
•ほこりがファン内部に詰まり、冷却性能が低下してモーターが過熱。
•溶接作業で発生した火花が周囲の油分を含む布に引火して火災。
(4) 操作ミスや誤った使用方法
•原因: 従業員が機械の正しい使い方を理解していなかったり、誤って適合しない材料や部品を使用した場合にトラブルが発生します。
(具体例)
•工場で規定外の材料を切断し、摩擦熱が想定以上に高まり発火。
•操作パネルの設定ミスにより、加熱装置が過剰に稼働し火災が発生。
その他の要因
•老朽化: 機械の設計寿命を過ぎた状態で使用を続けると、突然のトラブルが起きやすくなります。
•外部要因: 落雷による電力系統のトラブルや、停電復旧時の電流過大供給などもリスクの一因となります。
リスクを特に注意すべき業種
•製造業: 機械設備が多く、部品劣化や高温作業のリスクが高い。
•飲食業: 厨房機器(フライヤー、オーブン、コンロ)が原因となるケースが多い。
•物流業: 倉庫内のフォークリフトやバッテリー充電設備が原因となる火災が多発。
発火リスクを軽減!基本的な対策とは?
<定期的なメンテナンスの実施>
•機械メーカーが推奨する点検スケジュールを守る
•電気系統や配線の状態を定期的に確認
<適切な環境の整備>
•機械の周囲を清潔に保つ(埃や可燃物を排除)
•通気性の確保や湿度管理
<従業員教育の徹底>
•正しい操作方法を定期的にトレーニング
•緊急時の対応マニュアルを共有
もしも発火事故が起きたときの初動対応とは?

1.人命を最優先に考える
・迅速に避難指示を出す
周囲の人に発火が起きたことを知らせ、すぐに安全な場所に避難するよう指示します。機械周辺だけでなく、近くにある可燃物や設備にも注意を払いましょう。
・煙や火に近づかない
発火現場に近づくことで一酸化炭素中毒や火傷のリスクが高まります。状況が危険だと判断した場合は、すぐに避難を優先してください。
2.初期消火を試みる(可能であれば)
・初期消火の判断基準
火が小さい場合や煙がまだ少ない場合は初期消火を試みますが、火が大きい場合や周囲が危険と感じた場合はすぐに退避してください。
3.緊急通報を行う
・消防への連絡
消火活動を行う際も、必ず早い段階で消防に連絡を入れます。伝えるべき内容は以下の通り:
-発火が起きた場所(住所や目印)
-火災の規模(煙の量、火の大きさ)
-発火原因の可能性(機械や電気系統など)
・関係者への連絡
自社の責任者や安全管理担当者にも状況を報告し、今後の対応に備えます。
4.被害拡大を防ぐための行動
・電源の遮断
火元の機械の電源を切ることで、燃焼エネルギーを減らせる場合があります。ただし、火元に近づくのが危険な場合は避けてください。
・周辺の可燃物を取り除く
発火した機械の近くにある油や布、紙などを安全な距離に移動します。ただし、これも安全が確保された場合に限ります。
5.事故の状況を記録
・写真や動画の撮影
被害状況を記録しておくことで、後々の原因調査や改善策の検討に役立ちます。火が鎮火した後に行うのが望ましいです。
・目撃者の証言を集める
発火の瞬間を見た従業員や周囲の人から、何が原因だったのかヒアリングを行います。
6.保険会社への連絡
発生した事故の内容を正確に報告し、必要書類を準備する。
まとめ
機械の突然の発火は日々の予防で大きくリスクを抑えることができます。万が一の事故に備えて消火器の配置や緊急時の訓練、マニュアルの作成も大切です。日ごろの小さな積み重ねで安心して事業に専念できる環境づくりをしていきましょう。