イベントを成功させるための注意点と対策

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街の損保案内人

1級FP技能士・CFP
損害保険業界で15年以上の経験を積み、長年の現場経験と専門知識を活かして、スモールビジネス、個人事業主、中小企業のリスク対策について分かりやすくお届けしています。

地域のお祭り、スポーツ大会、アウトドアイベント、フリーマーケット、グルメフェス、ライブコンサート、文化祭など、年間を通して私たちの生活を彩るイベントは数多くあります。主催者として参加者に心から楽しんでもらうために一生懸命準備を重ねてきたはず。その努力を実らせるためには安心できる備えを整えることが欠かせません。この記事では、イベントを開催する際に注意すべきポイントと、過去の事故から学べる教訓についてご紹介します。

来場者の誘導について

イベント会場での誘導は参加者の安全を確保する上で重要な要素のひとつです。出入口付近や狭い通路で人が密集してしまうと雑踏事故が起こる危険性が高まります。過去にも群衆なだれで大勢の人が転倒、圧迫などで亡くなるという悲惨な事故も起きています。事故を防ぐために適切な誘導や対策が不可欠となります。

進行方向の矢印表示で混雑を防ぐ

初めての来場者でも迷わずに目的地までたどり着け、流れをスムーズにし、混乱を避けることができます。

矢印表示は鮮やかな色や大きなサイズの目立つデザインで分かりやすい表示にしましょう。

・誘導スタッフによる呼びかけ

1.混雑しやすいエリアでの誘導

出入口付近や狭い通路、階段では声かけで動線を調整し、混雑を緩和します。

「こちらからお進みください」「前の方に続いてください」など、混雑エリアでは誘導スタッフが口頭で案内するほか、スピーカーを使った定期的なアナウンスも効果的です。

2.進行方向の案内

初めての来場者でも迷わないように、「ステージは右手奥になります」「受付はこちらです」など目的地までの方向を伝えます。

3.安全確認のための注意喚起

段差や滑りやすい床など注意が必要な場所では「足元にお気を付けください」「前の方に間隔を開けてお進み下さい」など声かけで安全を確保します。

入場者数を一時的に制限する

特定のエリアやブースに人が集中しすぎると、危険な状況になることがあります。来場者の安全を確保するため一時的に入場を制限することも必要です。制限により不満が生じないよう、丁寧な対応を心がけましょう。

プロの警備に依頼する

会場周辺の交通整理やイベントの規模が大きくなればなるほど、来場者を安全に誘導することの難易度も上がります。豊富な経験と知識のあるプロの警備に依頼することも検討しましょう。

迷子や急病者の対応について

楽しいイベントでも、迷子や急病者が出ることは避けられない場面があります。そのためこうした状況に迅速に対応できるよう想定しておきましょう。

迷子のアナウンスを活用

大勢いる会場では、スピーカーを使ったアナウンスが有効な手段となる。

急病者への対応

イベントでは医師や看護師の常駐は難しい場合が多いため、応急救護セットや簡易ベッドなどできることは準備しておきましょう。症状によっては救急車や近くの病院へ連絡することをスタッフ全員で共有しておく。

設備による事故を防ぐ

イベント会場で使用される設備や機械が原因で事故が発生することがあります。これにはステージ、音響や照明機器、展示物やテントなどが含まれます。過去にはカメラ設備が倒れる事故も起きています。

事例1:テントの固定不十分な事故

屋外イベントで、テントの固定が不十分で強風によりテントが倒れ近くにいた来場者がケガを負った。

【対策】

テントや仮設物はロープや重りでしっかり固定し、強風対策を徹底する。

事例2:音楽イベントでカメラ設備が倒れ観客がケガを負った。

【対策】

機材の設置でゆるみやミスがないか複数人で確認。万が一の落下や倒壊に備えてカラーコーンや柵の設置で立入禁止エリアをつくる。

急な自然災害による対応について

急な自然災害はイベント運営にとって予測が難しいリスクの一つです。

近年、台風や雷、豪雨といった自然災害の発生頻度が増加しています。特に屋外イベントでは、突然の天候悪化が来場者の安全に影響を与えるため、運営側にも対策が求められます。

・天気予報アプリの活用

台風や雷雨、豪雨など急な気象変化に備えるためには天気予報アプリを積極的活用しましょう。雨雲の位置情報などをリアルタイムで確認できるので状況の変化を早めに察知することができます。事前の確認だけでなく、イベント中も定期的に天気情報を監視し、迅速に対応できる体制を整えましょう。

・スピーカーでのアナウンス

天候が急変した際、来場者への迅速な情報共有が鍵となります。会場内でスピーカーで天候の急変を知らせるようにしましょう。また外国人来場者にも対応できるように準備しておくと安心です。

・機材が倒れるリスクを減らす

機材など設置する際は、地震の揺れや突風ですぐ倒れないように、必要に応じて補強をしておきましょう。人が通る場所や密集するに設置する際は、設備周辺にカラーコーンなど置いて十分なスペースを設けることで、倒壊時の被害を最小限に抑えます。

侵入禁止エリアの設置

・コーンや柵で仕切りを作る

会場敷地内では来場者の安全確保のため、機材や備品など保管しているエリア、工事中や整備中のエリア、暗く足場が悪いエリアなど、事前に把握できる場所にはコーンや柵を使って来場者が誤って危険なエリアに立ち入るのを防ぎましょう。

目立つ表示を設置する

「立入禁止」「スタッフ以外立入禁止」注意喚起の表示を設置します。特に文字と一緒にピクトグラム(絵文字)を併用することで分かりやすく伝えることができます。外国人来場者が多い場合は多言語での表記も加えましょう。

まとめ

イベントは運営者も来場者も一緒に楽しむ場です。そのためには、スタッフ全員が安全意識高め、危険箇所の確認や誘導、自然災害への備えをすることが大切です。

必要に応じてプロの力を借りることで、より安心な環境を作ることができます。安全対策をしっかり行うことで、来場者に「また来たい!」と思ってもらえるイベントを目指し、安全第一で取り組んでいきましょう。