「休業リスク」とどう向き合う?
飲食店の新規開業を控えている皆さん、きっと夢や希望を胸に準備を進めていることでしょう。メニューのアイデアや店舗デザイン、SNSを使った集客プランなど、ワクワクすることばかりかもしれません。
ですが、少しだけ視点を変えて、「もし突然お店を休まなければならなくなったら?」というリスクについて考えたことはありますか?
飲食店経営には、「お店を止めざるを得ない状況」が起きる時があります。今回は、そんな「休業リスク」に焦点を当てて、その内容や対策を一緒に考えていきたいと思います。
飲食店で営業停止?知らないと恐い「休業リスク」とは

まず、休業リスクとは、何らかの理由で一時的に営業を続けることが難しくなる状況を指します。以下は、実際に飲食店でよくあるケースです。
1.自然災害の影響
台風や地震などの自然災害によって、店舗が損傷したり、インフラが機能せず営業ができなくなるケースがあります。特に地域密着型の飲食店では、周辺環境の被害が大きいほど再開の目処が立たない場合もあります。
2.火災や水漏れ事故
調理場での火災や配管トラブルなど、店舗設備の不具合が原因で休業を余儀なくされることも。オーナーが細心の注意を払っていても、予想外のトラブルは避けられないものです。
3.衛生管理のトラブル
食材の管理ミスや衛生基準を超える状況が発覚した場合、保健所の指導により一時的に営業を停止しなければならない場合もあります。
4.突発的な地域トラブル
大規模な停電や断水など、自店舗には直接関係ないインフラ問題でも、営業が成り立たなくなることがあります。
飲食店で売上ゼロでも支払いが続く!休業中にかかる「見えないコスト」
「休業中は売上がゼロになる」というのは想像がつくと思いますが、実はそれ以上に厄介なのが「固定費」の存在です。
営業ができなくても、毎月必ず発生する支出が経営者にとって大きな負担となります。具体的には以下のようなものです
1.家賃やリース料
店舗を賃貸している場合、休業中でも家賃は発生します。また、厨房機器や設備をリースしている場合、その費用も毎月支払わなければなりません。
2.人件費
アルバイトや正社員などスタッフの給与は、休業中も支払いが必要なケースが多いです。特に、長期にわたる休業では解雇手当など、通常時にはない費用も発生します。
3.借入金の返済
開業時に借りた資金の返済スケジュールは、基本的に変更ができません。毎月の返済額が売上でカバーできない場合、経営はさらに厳しくなります。
4.その他経費
休業中でも発生する光熱費や通信費、設備の保守費用など、細かい支出が積み重なります。
飲食店オーナーが今からでもできる「休業リスク」への備え
休業リスクに対処するためには、まず「自分のお店がどれだけ固定費を抱えているか」を把握することが大切です。以下のステップで準備を進めてみましょう。
1. 固定費の洗い出し
家賃や人件費、借入金の返済額など、毎月必ず支払う項目をリストアップします。この作業を行うことで、休業時にどれだけの支出が続くのか明確になります。
2. 緊急時の資金計画を立てる
休業期間が1か月続いた場合、3か月続いた場合など、シナリオをいくつか設定し、それぞれの期間をカバーするために必要な資金を計算してみましょう。これにより、必要な備蓄額や融資の検討が進めやすくなります。
3. 衛生管理や設備点検を徹底する
食材管理や設備の定期点検を行うことで、休業リスクの一部を未然に防ぐことができます。また、災害時の対応マニュアルを作成し、スタッフと共有しておくことも有効です。
「リスクをゼロにはできない」 損害保険も検討してみよう
リスクをゼロにすることはできません。しかし、事前にリスクを把握し、対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。
大切なお店が、長く地域に愛される存在であり続けるためにも、ぜひ一度「もしもの時」を想定したシミュレーションをしてみてください。